jijimairo0816のブログ

ある日、突然に精神病院へ入院させられた先で出会ったのは三番目の結婚相手でした。周りに反対され、けなされても私は彼と一緒に生きていきたいです。

微妙な恋愛のスタート

退院が決まる直前、外泊を許可された。


彼は満たされない食事の量や自由な外出を黙って耐えていた。理由は敢えて聞かなかったが、他の患者さんの不満や雰囲気からこの病院の在り方は人権を問うものだった。


久しぶりに自宅に帰れる嬉しさから、お土産に何が欲しい?と彼に聞いた。

彼は腕時計が欲しいと言った。


腕時計?何で?と聞くと、持ってないから と短い返事が帰ってきた。


私達はまだ付き合っている訳でもなかったし、高価なものはちょっと…と思ったので

少し考えてから 分かった と伝えた。


私の心の中にこの病院とも、病院にいる患者さんともお別れを告げようと思った。一生、さようならだと決めた瞬間だった。


外泊から帰ってきて彼には約束した時計を渡した。彼はとても喜んでくれた。


退院する前の2日前、彼から就寝時間直前の暗くなったデイルームで話をしようと言われた。


特に話をすることなく椅子を並べて座っている時、二人の感情が高まったようにキスをしていた。


退院する前の日も椅子を並べて座った。

彼は強く私を抱きしめてくれた。


退院する日、こっそり手紙をくれた。内容は

連絡するからね、退院したら絶対に会おうと書いてあった。 最後に固い握手をしてさよならをした。


私はその場の恋愛だったのかな?と思っていたが、彼にとっては恋愛スタートだった。


田舎のバス停から自宅へのバスターミナルまでの約一時間は疲れきって覚えていない。

やっぱり気になる年の差

彼とはいつの間にかデイルームで食事を一緒にするようになっていた。


他にも何人かの患者さんも一緒にいたが、


座る場所は私の真ん前が彼と決まっていた。


食事が喉を通らず、少食だった私のおかずを彼は目くばせして食べてくれた。


ずっとデイルームにいると彼は私の前に座って聞いていた音楽を聞かせてくれた。


無言で言葉少ない彼にどう接していいのか分からなかったが、感謝の気持ちを伝えたくて手紙を書いて渡した。


話をあまりしない彼からの手紙を見て、年の差を感じた。


私は思いきって、彼に年齢を聞いてみた。


驚いたことに彼は私より15歳も年下だったのだ。


自分の中で彼は知らない病院で出会ったのだから、何もなかったことにしようと思ったのと同時に入院中にお世話になっていることに感謝して、できるだけお返しができたら…と思った。


手紙のやり取りの中で彼から好意を打ち明けられた時、私は一人の女性になっていた。


揺れる心の狭間にいた時、退院が決まった。

過酷な入院生活の中での淡い恋

いきなり騙されて入院させられた病院は


田舎の精神科病院だった。


今まで通院していた病院は大きな総合病院で勝手も知っていて、何よりも居心地の良い場所だったので何で?何で?という感じだった。


洗面具も何も持たされないまま、家族の同意と医師の判断でいきなり入院。


受診室で両腕を看護師に捕まれたままナースステーション横の個室に入れられた時はただ呆然としてしまった。


病棟の看護師の計らいで病衣と洗面具を用意してもらえたので、ようやく休むことができた。


翌朝、喉が乾いたのでお茶のサーバーへ看護師から渡されたプラスチックのコップを持っていくとお茶の入れ方がわからなくてあたふたしてしまった。


後ろから背の高い男性が ここをこうやって押すと出ます と教えてくれた。


パッとしか見なかったが、こんな病気に見えない人も入院してるんだ と思ったのが


彼に対しての第一印象だった。


その日の昼過ぎからデイルームと呼ばれる


食事をしたり、テレビをみたり、患者さん同士が話ができる場所でボーッとしていた。


横にある1台しかない公衆電話を使って誰に助けを求めていいのかと考えていた。


突然、男性二人が私の前に座り お話しませんか?と聞いてきた。そのうちの一人はなんと、お茶サーバーの男性だった。




びっくりしたのもありましたが、どこか嬉しかったのを覚えています。きっと彼に対しての私の淡い恋心だったのかもしれません。